読売新聞 多摩版 朝刊 2001年3月29日

農作業楽しみたい 高齢者 農地を守りたい
互いの希望が一致 援農ボランティア 町田でスタート

農作業を通して収穫の喜びを味わいたい高齢者と、高齢のうえ後継者がいないが農地は残しておきたい農地所有者の希望をマッチさせた「高齢者援農ボランティア制度」が町田市に誕生、二十八日、第一号の農地で農作業が行われた。双方が高齢者で、農地保全が目的の援農制度は全国初という。

同制度では、市と市農協一が昨年末、「高齢者の生きがいと健康づくり、農地の保全に資する」という趣旨で覚書を交わした。個々の農地所有者と援農ボランティアグルーブが一年契約を結び、農地所有者が技術指導を行う。収穫物は互いに販売できないが、契約更新はできる。

第一号の援農農地となったのは、同市金井二、農業小宮三郎さん(87)の約二千五百二十平方uの畑地。小宮さんと、周辺地区在住の会社退職者や主婦らで作る「ゆうき山農園グループ」(会員十五人)が契約を結んだ。この日、会員たちは、小筥さんの指導で畑を耕し、ジャガイモの種芋とウコンを植え付けた。

小筥さんは、「年を取ったし、こういう制度が出来て大助かり。知っていることをボランティアの人たちに教え、農地として残るなら最高」と大歓迎。グループ代表の影山仁造さん(67)も、「農業を守り、緑を残すことができればうれしい。高齢者の生きがいにも役立つと思います」と話していた。

現地を訪れた市の高山譲二助役は、「高齢社会のため、この制度がますます活用されるだろう。将来は百か所ぐらいにしたい」としている。